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犬のしつけインストラクター乳がんステージⅢbからのサバイバル挑戦

指先でなく月を

今日の内容は
やたらマニアックで長くなりそうなんで、お時間のある方だけどうぞ。


こないだぼんやりとTVを見ていたら

「銀座の和食の名店に外国人が弟子入りする」
的な番組をやってまして。

はるばる遠い場所からやってきた外国人の弟子に向かって
名店の大将は丁寧に教えるかと思いきや、
発する言葉は、全てが『問い』でした。

「どうして僕はこの魚を選んだと思う?」
「この盛り付け、どう思う?」
「どうしてこんな刻み方をすると思う?」

それに対して
○○を見て判断したのだと思います
○○に並べると○○が際立つからだと思います
○○だからだと思います

そんな返事に大将は「うむ」とうなずいてました。

ああ、さすがこの大将は、
本当のプロを育てるのに何が重要なのかをご存じだわ。

そう思いながら見てました。(えらそうにー)



自分自身があちこちでセミナーやってて感じるんですけどね

セミナーの後に、たいがい受講者のアンケートが届くんですけどね

アンケートのほとんどは
内容は分かりやすかった、分かりにくかった
役に立った、立たなかった
みたいな評価で

まあ、それを見て泣きそうなくらいホッとしたり
吐きそうなくらい落ち込んだりするわけですが
(一応ニンゲンやからな)

ふと気づけば
いつの間にか、評価や点数に振り回されそうになってる自分がいたりします。

で、次のセミナーの資料を作りながら
どこか受講生の「イイ評価」を気にして、
○○=△△ みたいな、答えとマニュアルの羅列みたいな
いかにも分かりやすいですぅ♪みたいな内容になってたりして

「違うやろ!!」
と作りかけた資料をブチっと消し去ったりします。
ほんで、そんな自分にまたヘコむ。(小心者)

こんなん、分かりやすくする努力やない。
単なる評価を気にしたご機嫌取りやん、と。


もちろん、講師である限り、内容を分かりやすくする努力は大前提。
当り前や。それでお金頂くんやもん。

そやけど、「考える=難しい」と取る人って、少なからずいてはるよな?
「考えるのは難しい。分かりやすく答えだけ教えて!」て。

名店の大将は弟子のアンケートで書かれるんかな。
「難しい、分かりにくい」て。


じゃあ、と、難しい を徹底的に排除して
カンタン、分かりやすい を追求すると

結局、「考える必要のない一律な答えの羅列」になってしまったりして。


もしも名店の大将が、はなっから弟子に
マニュアルとただ全ての答えを教えていたら。
この魚を使う。
こうやって盛り付ける。
大根は細かく刻む。

そこに、本当の意味の学びはあるやろうか?
それで、無限のバリエーションの料理に向き合う力は付くやろうか?

あえて分かりやすい答え”だけ”を教えずに、
問いを投げかけることで考えるチカラを育てたいと願う大将は、
むしろ強い責任感を持った人なんやと思った。
その世界の本当の厳しさを知っているプロフェッショナル。



同業種の講師の先生とセミナーの話をしてたときに

「自分は一律的な答えをセミナーで言いたくない。
 自分が受講生に伝えたいのは、『考え方の道筋』であって
 マニュアル的な対応じゃないから。 」

「・・だけど、それを分かりにくい、といわれちゃうとねえ。」

そう言って凹んだりしてて

いやいや分かりますで。ほんまにそう思う。
て1000回うなずいてました。


相手は、犬という、感情を持ってて個体差の激しい生き物で
プラス飼い主さんの環境という
とても流動的な千差万別のパターンの中で

ほんまに個々に合わせて役立ててもらおうと思ったら、
方程式の組み立て方の”原則”しか伝えられへんのな。

入る数字はまちまちやもん。
自分で数字を当てはめて、自分で答えの数字を出さな、
それぞれの本当の答えにはたどり着かへんねん。

最大公約数の分かりやすいを追求して、答え(やり方)だけを教える?
セミナーでの「分かりやすい」の落とし穴は実はそこにある。

その答えがたまたま最大公約数に当てはまる犬やったらラッキーやけど
ハズレた犬はもうお手上げ。
合わない方法をチョイスされた犬は困るやろう。
それが、分かりやすい答え(やり方やマニュアル)だけを教えることの
裏側やったりすること、あるんちゃうかな。


昔私が激しく勉強をしていた頃(10年以上前)

まだネットもメールもそんなに発達してなくて
SNSなんてカケラもない時代で
情報ってもんが、とても貴重やった頃。

血眼になってセミナーの情報を見つけ出し
腹ペコの鯉みたいに飛びついて
骨まで吸い尽くす勢いで講師の話に耳を傾けた。

しばしば受講するお金がなくなって
食費を切り詰めたり
ヤ○オクで金目のもん売ったりして
必死の思いで参加したっけなあ。
(ババアの昔話はくどくていかん)

やっとの思いで参加できたセミナー、
そらもう睨むように目を凝らし
耳をそばだてて
何一つ聞き逃すまいと真剣そのもので。

講師の話が分かりやすいとか分かりにくいとか
そんな評価を下すことなんて露ほども思わず
とにかく1分1秒、このわずかなチャンスから、何か役立つ情報を抽出しようと
全身全霊を傾けた。

役に立つかどうか?なんかは講師側の問題ではなく
”自分が”聞いたことを役に立てられるかどうか?が問題やと思ってた。


帰ってからも、何度もハンドアウトを見直し、
自分でノートに書き写し、
毎日読み直し、味わい尽した。
その時のハンドアウトは、今でも年に1回は読み返すわ。
受講料の元を取る勢い。(いやもう元は充分取ったやろう)
そんな貴重な情報やったから、忘れるなんて宝をドブに捨てるような
モッタイナイことやった。


こんな奥の深いものがたった数時間のセミナーで全てが分かるはずもなく
むしろそれが当り前で

その時持った疑問や、
今はまだ答えが分からないヒントこそが最大のお土産やと思ってて

もちろん、あの頃のセミナーにはアンケートなんてなかった。
受講生はお客様扱いなんかされなかった。
貴重な情報を分けてもらって、それに評価をするなどあり得ず、
ただただ喜びしかなく・・
講師と受講生が裸でぶつかり合うような、ごく純粋な、アカデミックな空間やった。

難しい話も、何年もかけて、その時の疑問を一つずつ解きほぐしていった。
まだ解けてない疑問もあるわ。
そやけど、その時もらった答えのないヒントは、
自分で答えにたどり着いた時に、黄金の輝きを放つやろうと思って
今もいくつも探し続けてる。
数年越しに答えを見つけた時は、「やったぜ!」とガッツポーズする。
そして絶対、忘れない。
私の血となり、肉となる。


モヤっとするもの。
すぐにははっきり答えの見えないもの。
単純に「分かりやすい」ではないもの。
そんなものが、キラキラ輝いてた
『探す喜びの時代』。

間違いなく、そんな無数のヒントたちが、今の私を育ててくれた。
考えて導き出すという本当のチカラを与えてくれた。


ブルース・リーの映画やったかな

師匠は「見ろ」と天を指さした。

けれど弟子は、指したその”指”を見て、
師匠に頭をぺシッと叩かれる。

「指先じゃない。月を見るんだ。」

真実にたどり着きたいなら、指を越えてその先の月を見よ。



心と身体の限界を薄々感じている今

これからは、
「アナタの話”だから”聞きたいんだ!」という
依頼だけをチョイスしてこうかな・・と思ったりする。
点数や評価に縛られず、
本当に自分が伝えたいこと、自分にしか伝えられないこと。
伝えることだけに熱中できる場所に、身を置こうと思う。

その代わり、それを理解してくれる人たちには
私のほんのわずかな知識を全力を尽くして伝えよう。
命を削ってでも、何も出し惜しみせず、ありったけの力で伝えよう。


風に舞う桜を見上げながら
(腫れた顔で)
(ついでにきしむ肋骨を抱えながら)
歩いてきた道のりと、これから歩む道を考える。


ワタシにとって講義もセミナーも、単なるメシの糧ではないんだな。
今まで一粒ずつ拾い集めてきた、大切な大切な人生そのもの。
その価値を分かってくれる人たちの前にこそ、私は立ちたい、と願う。



なんか、今回はすごい長旅のブログになっちゃったけど
えーと元々なんやっけな。

そうそう。

「銀座の和食の名店に外国人が弟子入りする」
的な番組を見ました。

て2行ーーー!











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犬に興味のある方や、しつけインストラクター向けのディープな話題。ブログでは語りきれないGrace的思考のアレコレ。興味のある方はぜひ。(有料記事)

プロフィール

Grace

Author:Grace
ドッグトレーニングインストラクターにして、只今闘病中。乳がんステージⅢbからのサバイバルを目指しつつ、日々想ふことあれこれふわりふわり。

2014/2
7cm大腫瘍発覚
リンパ節転移
ステージⅢb

2014/3 
CVポート埋め込み
抗がん剤開始
FEC×4クール

2014/6 
ハーセプチン+ドセタキセル×4クール

2014/9/29
切除手術(右全摘)
腋窩リンパ節郭清

2014/11/4
ハーセプチン×14クール

2014/12/18
ホルモン治療タスオミン開始
(5年間予定)

2015/1/21
放射線治療25回 50Gy

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