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napper  ~by Grace K9~

犬のインストラクター乳がんステージⅢbからのサバイバル挑戦

名乗るはたやすく

この仕事を選んで十数年
数千の飼い主さんとワンコを見てきて

そんなに長い間インストラクターやってりゃあ
もはや経験豊富で

今や
おほほと余裕かまして仕事してるんじゃないかと
思う人もいるかと思いますけれども

んなことないで。いっこも。

最初の頃から全く変わらぬ全力疾走の日々。
余裕のヨの字もねーわ。ほんま。


たくさんの飼い主さんとワンコとの出会いがありました。

駆け出しの頃、飼い主さんからの切羽詰まったSOSに
必死に立ち向かうも

講座でほんのチョッピリ教えてもらった
なけなしの武器(問題行動マニュアル)振り回しても
到底太刀打ちできるはずもなく

今やOKグーグルですぐに出てくる程度の
ありきたりで薄っぺらい知識と
未熟な技術を御守りみたいに握りしめて

「どうしてうまくいかないんだろう」
なんて

今振り返れば

当り前やろーー
それで全部の問題が解決すれば世話ねーよ!

ってレベルで

もがき苦しんでたっけな。


マンションで吠えの止まらぬMダックス。
本当に、ずっと吠えてて。

無駄吠え防止グッズもありったけ試し
習った無駄吠えトレーニングも全く効果なく

吠え続けるワンコに
「うるせーんだよ!!!」と
家族が椅子を蹴りつけるのを
何もできずに見ているだけだった。

このコが、
「問題だけを消そうとしちゃダメだ。
問題が起きる根本を改善しなければ」
と後に気づかせてくれたっけ。


網戸を破り
テーブルの上に立ち
やりたい放題で暴れまわるボーダー

家族への咬みが止まらぬフレブル

もう飼えないと言われた柴

通行人を咬んでしまったMIX・・・


どれもこれも
当時の自分には手に余るケースばかりで

いつも訪問レッスンの帰りには
車の中で泣きながら帰ったっけな。

あまりの自分の役立たずぶり
不甲斐なさと
悔しさと
申訳なさと

そしてその相談に乗ってくれる先輩も仲間も
誰一人いなくて

「オマエ、この業界におらんでええ人間ちゃうか」
って何度も自問して。


どんなトレーニングをしようとも
犬が、人間の都合に合わせて100%変わることなどない。
犬は犬であり、そのコはどこまでいってもそのコで。
つまり、トレーニングには限界がある。

犬だけを無理に変えようとしてもダメなんだ。
飼い主さんの”正しい理解”も、不可欠なんだ。
そう気づかせてくれたのは、このコたちだった。


クラスレッスンも泥沼からのスタートやったな。

分かりにくくてつまらんレッスンには
飼い主さんは来なくなる。やめていく。

そんなシンプルな現実の前に
何度も打ちのめされて
ただただ、タバコの本数が増えるだけの毎日やった。

そんな時、やっぱり相談に乗ってくれる人も
アドバイスをくれる人もいなかった。
上司からは、「ふん。ヘタなんじゃない?」って返事が返ってきておしまい。


よくあの状況で、この仕事を続けられたな、と思うわ。今でも。
なんでやめへんかったんやろうなあ。

「できない」って泣いてる自分。
だけどもっと泣いてるのは
本当は飼い主さんとワンコだ、って気づいたからやろか。


とにかく飼い主さんの期待を裏切りたくなくて
涙を止めたくて

そう、
「飼い主さんを笑顔にしたい」なんて
大それたことなど願わない。

ただ、
「せめて涙を止める力が欲しい」
ことだけを一心に願って

手当たり次第に手段を択ばず
あらゆる知識と情報をかき集めた。


習ったトレーニング方法など
基礎の基礎のそのまた基礎にしか過ぎず

じゃあ
一体何が足りないのか
どうアレンジしなければいけないのか
そこにはどんなロジックが必要なのか

そのロジックを構築するために
犬の心理をどう扱わなきゃいけないのか

そもそも犬ってどんな習性と思考を持っているのか

ヒトと犬は本来どんな関係なのか

この社会でそれはどうあるべきなのか

考えて考えて考えて


果てには人間の心理学から
児童心理学障碍者心理学を読み漁ってヒントを求め

ドッグランに通っては
犬たちの習性と会話に目を凝らし

自分のレッスンをビデオに撮っては
改善点を毎日ノートに書き出し

あらゆる場面で、「!」と思ったことや
気付いたこと、ひらめいたことを書き出し

自分が立てた仮説を
実際のワンコで何度も検証する

そんな事を何年もずっと続けてきた。


今でも

毎晩必ず1時間ネットで情報を集め

テレビを見てる時も
なにげに出てくるヒントをメモに取るための
ノートとペンはテレビの横に必ず置いてる。

それを後からブレインノートにまとめて清書する。
※ブレインノート・・一度手に入れた情報を忘れないように、手書きで書いてるノート。
ワタシの外付けハードディスクみたいなもん。


そんな日々を重ねても
なおこの仕事は果てしなく
できないことや分からないことだらけで

ワタシのちっぽけなスキルに加えて

がん治療の後遺症で
力が入れられなくなった右腕と
反応が鈍くなった右手

やっぱり余裕なんて生まれるはずもなく

日々向き合う飼い主さんとワンコを前に
色んな汗をかきながら
悩んだり考え込んだりするワケです。



「私はインストラクターです。」
「私はトレーナーです。」


そう名乗ることはいともたやすい。

しかし本物であること
本物であり続けることこそが難しい。


「そのチカラ」
がなければ

飼い主さんの涙は止められない。
ワンコの苦しみを救えない。

じゃあ、飼い主さんとワンコはどうなる?って話で。

じゃあ、自分は今日から、何をする?って話で。



なけなしのワタシのメソッドを
受け継いでくれる人たちに。
惜しまず、伝えようと思います。

8/21 GFIA。
今回から、二期生も受講スタートです。





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